流れのままに

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ひとつの謎が 流れのままに

断捨離はさながら家との対話だ。家の中には、自分と様々なモノがあるんだけど、ものにはそれぞれ思い出がある。引き出しの整理をしていると、母のアクセサリーが出てきた。あ、この指輪、母が商店街の路面店で買ったもの。覚えている、あたしがランドセルしょってた頃だったなぁ。インドの細工物で、売っているおねえさんが赤毛のおかっぱで、美人さんだった。ずいぶんあとになってから、緑の石が嵌めてある横のポッチが開いて、中には小さな仏様がいらしてビックリしたんだ。あれから幾星霜? まだ仏様いるかなぁと、ポッチを開けるとちゃんといらした。古いものが残っていたんだなぁ。それでも家人たちのモノへの執着は不思議と感じない。みんなあの世で修業を続けているから、この世に想念を残していないんだろうね。

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仏入りリング

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一階の本棚には、とりあえず置いておいた物が積みあがっていた。もらった本や手紙、原稿の覚書き、編集の仕事をしていたときのものが多い。そんなこともあったなぁの思いに浸る。ずいぶん前の自分の個展の案内状が出てきたりして、来し方を思う。見ていると、だんだん頭や目の奥が重くなる。なんでこんなことで、こんなに疲れるんだろう? 一休みのつもりで座ってお茶を飲む。どよ~んと頭が重くてまぶたを閉じる。一瞬、眠ってハッとする。こんなに過去の想念って重いのかしら?

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ボーカスペーパーを袋の形に折って大きな断捨離袋を作る。処分するべきものをどんどん入れる。袋はひとつふたつと増えて行く。途中やっぱりこれ、取っておこうなんて思う。すると左の肩甲骨がぐっと詰まる。えっ、もしかしたら、この詰まりって過去? どうして万年ゴリゴリの肩甲骨なんだろうと思っていたんだけれど、これって想念の凝り固まり? 長らく詰まっている理由が判らなかったから、謎がひとつ解けた気がした。

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家の中に積みあがっていた未整理の過去。今や断捨離袋へ投げ込んで、流していくところだから、断捨離袋がひとつ残らずなくなるころ、この詰まりもなくなっているかしら? 詰まりは一気に抜くと身体はショック状態になるから、少しずつが大原則。そして私の過去の想念解消は、あの世で修業を続けているご先祖たちの意思気刷新とも連動しているのが何だか判るよ。

◆◆◆流れのままに行こう◆◆◆

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2021年3月

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