怖い話

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私は幻覚を見たことはない。ドッペルゲンガーモドキは見たけれど。いったいどういう現象なんだろうと思っていたところ、肉体とエーテル体がひとつになることは、ひとつの目標だと読んで、なんだかピンときた。肉体とエーテル体は分離しているのが普通らしいから、人体を取り巻くこの微細体、小生命とも言われる現象の中に、きっと何かを映し出す要素があるに違いない。そして頭に浮かんだのは、祖母が少女の頃、幻覚に追われて逃げまわった話だった。

怖い話 背の高い老婆が津波のように大きくなりながら追いかけてくる。捕まっては大変と、恐怖にかれられた少女は家中を逃げ回った。昔の家は建物ぐるりを廊下が取り巻いていて、部屋べやは襖で仕切られていたから、襖を開け放てば大きな空間になる。少女が縦横無尽に駆け回る状況は整っていただろう。逃げまどう娘を助けようと家人たちが「ほら、こっちだ、こっちだ」と声をかけたけれど、「ああいう時は駄目ね、怖くて止まれないの」とは祖母の言。津波のように大きくなる老婆は、近所にいた背の高い尺八の師匠をしていた女性だったとのこと。幻覚を見たのは祖母がリウマチ熱に浮かされていたからだった。

恐怖の源はどこか? 肉体を取り巻くエーテル体の内、もろもろに蓄えられた情緒(想念)が映し出すまぼろしではないか? イエスが水の上を歩いて、舟に乗った弟子たちに近づいたのは、揺れ動く情緒生活という海原を鎮めることを教えようとしてのことではなかったか? 自分が怖いと感じるものに共振する情緒があるなら、この想念を形成する小さな生命体は真我に宿る霊的なものにも共振するハズ。今より高い波動と共振する自分になるには、自分の肉体とエーテル体の関係について、もっと考えてみなければと思う。

先祖がドッペルゲンガーを見た話▶

お嬢様の熱演

お嬢様って物知りで面白い人だったと思う。感情をあらわにしない階級のお育ちだったとしても、幼ななじみとは屈託なく話しをしたことでしょう。

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2024年10月

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