先祖樹
先祖樹
庭に変な木が生えていた。薄茶のヤツデのような葉の真ん中に、こげ茶の穴がある。まるでこちらを見ている目のようで、ちょっと気味が悪い。いつの間に、こんな大きなものが生えたのか? これはいったい何だろう? 考えていたら目が覚めた。夢だったのだ。
この夢、何を意味しているんだろう? 茶色い木?ヤツデ? 庭は心の状態を表していると言うけれど・・・その時は何もピンとこなかった。
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しばらくして、庭に生える木の夢は、先祖の守りを意味していると知った。私が成長過程でお世話になった人たちは、両親よりも年長者の親族の人々だった。みんな帰天されて先祖の仲間に入って、つまり古びて重なり合い、ぱっと見に不気味な(神秘的というべきか)存在たち・・・樹木として夢で姿を現し、現世を生きる末裔を守っている。
ヴォイニッチのトートによれば、植物は自分の中にシステムを作って、それを維持する能力があるという。先祖樹という守りのシステムは・・・お守りというものは常にあるんだけれど、魂を強くするために、この世を生き抜くには試練が必要なので、困ったときはどうするべきか、自分で考えて行動しなくちゃならない。間違った方向へ行ったとしても、それは間違いに気が付くためだから、その始末も自分でつけなければならない・・・先祖たちは末裔のすることを、もどかしいのをこらえて見守っていて、あわや倒れると言う時は、助けの手を差し伸べているに違いない。お陰でその都度どうにか切り抜けて、生きている…。
夢や日常でのアクシデントは、その時どうしてこうなっているのか意味が判らなくても、判るべきものなら、ちゃんと後で解ってくるということが何度もあったから、謎についてはいつも、考え続けている。

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