右と左その2

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右と左その2

ロットバルトの羽ばたき

右と左その2

右よりも左に出る症状が重い。というのが私の常だ。今回の皮膚炎も左の方が重傷だった。左の中指がまるで毒虫みたいになったけれど、右はそこまでいかなかった。外部から受けた影響を右が取り込み、左が自分の中へ入れ込むことを考えれば、それもそうだなぁと思える。

左に受けた最初の自覚あるダメージは目だった。ボリショイ・バレエ団の白鳥の湖を観に行った時だ。生まれて初めてのバレエ鑑賞だった。湖を囲む岩場の上方に、悪魔ロットバルトが長い翼を羽ばたかせる。ただ羽ばたくだけなのが、逆に強い印象を残した。そして湖を漂う霧が、舞台前面にカーテンのように映し出される。ここは魔法のかかった湖だ。とても神秘的な演出だった。最後のシーンもいまだに覚えている。悪魔を倒した王子が、人間の姿に戻った姫を高々と両腕で持ち上げて、湖から上がってくると、満場が感動に包まれた。名場面の数々を目の底に焼き付けた5歳の私は、夢心地で眠りについた。と、次の日の朝、私は両目を開けることができなかったのである。

目が開かない。私はまぶたに手をやった。目ヤニだ。目ヤニがびっしりとまつ毛に張り付いている。まつ毛の流れにそって、ひっついているベタベタしたものを指先で下にしごく。それを何度か繰り返すうちにまず右目が開いた。左目の方が目ヤニがひどかった。さっそく眼医者へ連れていかれると、急性結膜炎とのこと。以来、左の視力が落ちたらしく、右は遠視、左は仮性近視、いわゆるガチャ目になった。

いまだに場面を覚えているくらい熱心に観た白鳥の湖。一生懸命見過ぎて、眼精疲労から目が炎症を起こした。のめりこみすぎる性格を何とかした方がいいということかも知れないが、この性格、あんまり直っていない。

遠視の人は、物を見るときに眼球に力が入るので、眼精疲労を起こしやすいと目医者さんは、教えてくれた。それじゃあ、力が入らないように、目が疲れないようにしてよと言っても駄目だった。(当時、まだ仙骨の調整には出会っていなかった)受験の時には眼鏡を作ったりしたけれど、焼石に水。目は鉛玉のように重くなり、今にも転がり落ちるんじゃないかと思うほどになり、片頭痛に悩まされた。 

しかし、こんな目を持ったゆえか? 仙骨の調整を続けたゆえか? 私は一風変わったメに遭った。

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